ベンゾについて調べ出すと『アシュトンマニュアル』の存在を知ることになると思います。
このマニュアルで推奨されている方法が「ジアゼパム置換」で、簡単に言うと、飲んでいるベンゾをジアゼパムに少しずつ変えていくという方法です。
多くのベンゾに比べ、ジアゼパムは作用時間が長く、ゆっくり時間をかけて身体から排出されるので、離脱症状も少ないというわけです。
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ぼくが飲んでいたのはレキソタンというベンゾで、当時1日3mgくらい飲んでいました(ジアゼパムに換算すると6mg)。
これをゆっくりゆっくり減らしていこうと考え、実際、1日1mgまでは減らしたのですが、強烈な離脱に耐えられませんでした。
外で泣き叫んで救急車、結局そのあと精神病院に3ヶ月入院でした汗。
「レキソタンをやめるのはムリだ」
と考え、アシュトンマニュアルを参考にしながら、ジアゼパムへ少しずつ置換していったのです。
置換ペースですが、
レキソタン1mg→ジアゼパム2mgへ置き換え
を、2週間かけて段階的にやっていきました。
入院中の期間を利用して(と言っても主治医はアシュトンの存在すら知らないクスリ肯定派だったので、すべて自己判断自己責任)、6週間かけてレキソタンを完全にジアゼパムに置換したのです。
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ジアゼパムに置換したあとは、それまでの離脱症状に加え、定期的に強烈な吐き気に襲われるようになりました。
朝から夜まで10時間以上吐き続けて、次の日にはマシになっている…という感じです。
かなりつらかったですが、これを経験する度に身体は楽になっていきました。
そして、楽になる度にジアゼパムを少しずつ少なくしていき、ついに完全断薬に成功したのです。
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さて、ぼくの場合はこのように、どうしようもない状況をジアゼパム置換によって抜け出せたわけですが、「他の人にもすすめられるのか?」と聞かれたらかなりビミョーです。
現在、ジアゼパム置換に関しては賛否両論あり、有識者の意見はどちらかというと否定派に傾いていると感じます。
内海聡先生の『心の病に薬はいらない!』にも否定的な意見が書かれていました。
![](http://euphoria-reiki.moo.jp/wp-content/uploads/2021/04/IMG_20210422_124612-1-1024x848.jpg)
しかし単純に考えてもまた別の薬の依存をもたらしますし、その方法で悪くなった人を私はたくさん見ています。
(中略)
たとえをするならコカイン中毒の人に、大麻を与えることで離脱症状を紛らわせようとしている、あるいはヘロインをモルヒネに変更して量を減らしていくことで中毒から卒業させようとしているということです。
…確かにその通りですね。
他にも見かける否定派の意見として「ジアゼパムが合わずにむしろ悪化するケースもある」というのも見かけますが、これもその通りです。
しかし…反対に、ぼくのように、ジアゼパムに置換することで減断薬がうまくいった人がいるというのもこれまた事実なのです。
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「結局、ジアゼパム置換したほうがいいの?」
という話ですが、ぼくの結論は、
「基本的に、いま飲んでいるクスリを置換せずに減らしていく。ど〜してもそれで断薬がムリそうだったら、専門家の監督のもとで、他のベンゾへの置換を試してみる。」
というものです。
ジアゼパム置換はリスクが大きいと思います。なので、おすすめはしません。
ジアゼパムは確かに作用時間が長く、ゆっくり抜けていくのですが、クスリというものは個人によって合う合わない、効きやすい効かないの差が大きいので、
「やってみるまでどうなるかは誰もわからない」
というのが実際なのです(このクスリの本当におそろしい性質だと思います)。
ぼくの場合、
「クスリに支配されて生きていくのは嫌だ。どうなってもいいからジアゼパム置換を試したい。」
という覚悟の元、すべて自己責任でやりました(当然ですが)。
そして、たまたま運良く断薬できただけなのです。
とにかく…アシュトンマニュアルを読んで、安易にジアゼパム置換をするのは危険、でも、それでうまくいく人もいる、ってことですね。
いずれにせよ、個人の性質に大きく左右されるので、ベンゾ薬害に詳しく、減断薬に協力的な医師に相談し、その指示の元、慎重に行っていくべきです。
ちなみに、そんな医師をぼくはひとりも知りません。